Yukenz

男たちの大和/YAMATOのYukenzのレビュー・感想・評価

男たちの大和/YAMATO(2005年製作の映画)
3.5
ミッドウェイ海戦での大敗以降、日本軍は劣勢を強いられ遂には連合艦隊は事実上壊滅、1945年4月戦艦大和はほぼ援軍がない状況で海上特攻隊として沖縄へ向かった。

艦隊戦では世界最強と言われていた戦艦大和だったが、大群での戦闘機の攻撃に遭ってはその機動力の前にかなり分が悪く、戦艦上は地獄絵さながらの惨状だったのだろう。
本作ではその様子がかなりリアルに映像化され、戦闘機の圧倒的な火器の襲撃により次々と生き絶えていく若者の姿が描かれる。

戦争に勝利することだけに向かっていた当時の日本の風潮にあって、お国のため、家族のためとして、20歳にも満たない若者までもが戦争に駆り出された。その結果、各地で多くの母親たちが涙で瞼を腫らすことになった。

そして戦争で生き残った人たちは、帰国してからも戦地で経験したトラウマに悩まされるだけでなく、戦友が命を落としたのに自分が生きて帰ったことに対しての後ろめたさや世間からの風当たりもあり、かなり苦しい思いをされたのだろうと思う。

本作では士道と武士道の違いを「武士道とは、見返りを求めず死ぬ覚悟。士道とは、死ぬ覚悟を内に秘め、恥じないように生きる覚悟」と説明するシーンがある。
なかなか深くて難しいが、戦時下にあった当時は死ぬも生きるも覚悟がいることだと思われていたようだ。

せっかく生まれてきても、こんな風潮の世の中では不幸でしかない。
戦争は人々を不幸にする最大の出来事だろう。
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