しゅんまつもと

市民ケーンのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
4.1
掴んだものは須く零れ落ちていく。永遠にパズルは完成しない。なぜなら最初からピースが足りていないのだから。
ラスト付近、俯瞰でカメラに捉えられた骨董品の数々がビルが群をなす虚構の街に見えたのは自分だけだろうか。形だけは残って何ひとつ意味を成さない。それは2020年の今、いま私たちが暮らすこの街だって同じじゃないだろうか。

上昇と下降の反復、奥行きにフィックスするカメラ、食事シーンの時制のジャンプ。今ではめちゃくちゃ見る手法だけど全然フレッシュ。町山さんの映画塾でその革新さについて触れているので予備知識としてぜひ。
自分は病院でのリーランドへの取材中に近づいてくるナースの下半身だけを捉えたショットにむちゃくちゃゾクゾクしました。