ギズモX

殺しが静かにやって来るのギズモXのレビュー・感想・評価

殺しが静かにやって来る(1968年製作の映画)
5.0
孤高の西部劇『続荒野の用心棒』のセルジオコルブッチが世に放ったクライムマカロニウエスタン!

雪山が舞台、喋れない主人公、黒人のヒロイン、自動拳銃と何から何まで異色づくめな世界観が目を見張る作品で、西部劇やマカロニウエスタンの脚本を180度ひっくり返したことによってメッセージ性の強い物語となっている。

特に衝撃なのがあのラスト!
最初に観たときはあまりのショックで、賞金稼ぎに声を奪われたサイレンスのように声が出てこなかった。

実はあのエンディングは、この映画が公開された当時に自由の為に戦い、暗殺されたキング牧師やマルコムX、チェゲバラなどの指導者達に捧げられている。

"最後まで闘った彼らの意思は絶えることなく人々の中に宿ったのと同じように、サイレンスもまた伝説となって人々の中に宿り続ける"

そんな思いが込められているように感じる。
とっても悲しい物語なんだけどね。

また、本作の登場人物はキャラクターのインパクトを重視するマカロニウエスタンの中でもずば抜けて圧倒的な存在感を放っている。
悲しげな雰囲気を放ちながら悪党を倒していくサイレンスの姿は、まるでモンスター映画に登場する怪物を彷彿させられる。
その謎めいたビジュアルが印象的だ。

たとえ結末が分かっていたとしても、彼は立ち向かい続けるのだろう。これまでも。これからも。
何度見ても心に響く大好きな作品です。
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