ギズモX

ゴジラ-1.0のギズモXのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

※本作が好きな方はスルーして下さい

去年見た映画の中で一番怒り狂いそうになった駄作。
この映画の根幹にあるのは歪んだ軍人礼賛そのものである。

本作からはこのような主張が読み取れる。
「先の大戦は間違っていた。その責任は大本営にある。戦った兵士は何も悪くない」
また、こうとも読み取れる。
「日本は戦争に負けたが、個人の戦争はまだ終わっていない。次こそは」
はっきり言って気持ち悪い。
自分達が世界各国に惨禍を与えた加害者だと気付いていないその無自覚さに吐き気がする。
史実でも終戦直後に一部の日本兵が戦場に残り、戦闘に参加したという記録が残されている。
占守島やインドネシア独立戦争がそれだ。
本作はそういった戦争の残り香を大勢の血が流れたという事実を無視して美談に仕立て上げてる訳。
「犠牲は無駄ではなかった」と。
恐ろしいことだ。これは。

特に腹が立つのがゴジラ討伐隊の立ち位置。
軍を退役した一般人達を決死隊として送り込んで、それを悲しみを背負ったヒーローのように描いているが、いやいや、一般人が武器を持つことほど怖いものはなく、正規軍から外れた民兵ほど戦争犯罪犯している組織ないぞとしか言いようがない。
人が武器を持つことの恐ろしさが一つも感じられず、逆に「なぜあの時戦わなかったのか」とトラウマを抱えた主人公がゴジラに応戦していく展開だから、メッセージ性が反戦とは真逆の方向を向いていて、全てがまやかしに見える。
あれか、国民が国を守るんだ。大本営と同じ轍は踏まないぞってか。
貴様らもその大本営と変わりはせんだろうが。
あんな計画性のない作戦にナヨナヨした気持ちで挑んで、怒りの象徴たるゴジラに勝てる訳がないでしょ。
ファンタジーキメるのも大概にせえよ。

これだったら、ゴジラ討伐後に歓声を上げたエメゴシの方が、本心を隠してない分まだマシだ。
今の社会が本作を持ち上げるのなら、僕は実際に大戦を生き延びた人達の体験談や作品に触れて、彼らの真意を確かめるとする。
間違いなく最低のゴジラ映画。
本作を高く評価したアカデミー賞なんて大っ嫌い!

【僕がアカデミー賞嫌いになった⑩の理由】

①第59回 作曲賞に『ミッション』のエンニオモリコーネを受賞させなかったこと
②第91回 作品賞に『ブラッククランズマン』を受賞させなかったこと
③第87回 作品賞に『グローリー/明日への行進』を受賞させなかったこと(製作者及び出演者がエリックガーナー事件の抗議活動を行なったことに対する報復)
④第63回 作品賞に『グッドフェローズ』を受賞させなかったこと
⑤第94回 ウィルスミスのクリスロック殴打事件
⑥第96回 視覚効果賞に『ゴジラ-1.0』を受賞させたこと&ロバートダウニーJrとエマストーンの授賞式での不祥事
⑦第89回 作品賞誤発表事件
⑧第82回まで"B級映画の帝王"ロジャーコーマンにアカデミー名誉賞を受賞させなかったこと
⑨第71回 作品賞に『プライベートライアン』を受賞させなかったこと
⑩第14回 新聞王ハーストによる妨害に対する妥協

【追記】
本作の国際的評価がアメリカに集中していることに気が付いただろうか。
もう一方の対戦国である中国や韓国、イギリスからの声は全く聞こえてこないでしょ。
僕はそれが凄く怖いんですよ。
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