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虹を抱く処女のumihayatoのレビュー・感想・評価

虹を抱く処女(1948年製作の映画)
5.0
ちょいと演出や、映像表現の端々に
「インテリ・ブルジョア層の為の(による)悲恋物語」的な気取りが匂ってきて、若干鼻につくのですが、高峰秀子なので☆5で。
今作の音楽も担当し、実際に結核を患っていた早坂文雄をモデルにしてるらしいとのことで、あまり悪くも言えないですが。

「重病人との結婚は現実的に無理なので、他の人と結婚したほうがいいかなと思うけど、人情的には最後まで一緒にいてあげたい」って話に、ちゃんと「それただ自分をよく見せたいだけの浅ましい考えじゃん?」と言っているところは最高だし、そのメッセージが上原謙演じる「自分の好きな曲だけ作り夢を信じる音楽家」の生き方や価値観の変遷ともうまいこと絡まり合って重層的。

高峰秀子が最終的に
「目に見える現実」と「目に見えない愛」
どちらを選ぶか、なんだかんだ最後まで気になりました。

とはいえ戦後&結核の時代。
社会のセーフティーネットも、医療技術も今以上に十分でない時代であり、こんな事例がいくつもあったろうことは想像に難しくありません。
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