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ゴジラVSビオランテのtakのレビュー・感想・評価

ゴジラVSビオランテ(1989年製作の映画)
3.4
平成ゴジラ"vsもの"第1作「ゴジラvsビオランテ」は、これまでになかった発想の面白さが光る作品。バイオテクノロジー技術の暴走が描かれるのは、当時からすればかなり先進的だ。クローン羊ドリーやヒトゲノムなんてもっと後の出来事だし、しかもゴジラの細胞から人間の手によって新たな脅威が生まれるのがなんとも皮肉な展開。さらに核エネルギーを喰らうバクテリアでゴジラに対抗する発想が面白い。そしてG細胞の設定はその後の作品にも継承される。

ビオランテとの対決が物足りないとか、シリーズに幾度も登場するスター怪獣の魅力には及ばないとの感想もあるだろう。けれどビオランテの悪魔的な造形美は他にない唯一無二のもの。二体に自衛隊の新兵器が絡むバトルも他の作品にはない面白さがある。

けれどテーマを盛り込み過ぎで消化不良の感もある。神をも恐れぬ企業の商魂、三田村邦彦と田中好子の間柄にしても、自衛隊の新旧すれ違いにしても、それぞれの要素は面白いのにどれも後一歩踏み込めない印象。ビオランテを生み出した博士は全く悪びれてない。相楽晴子演ずるテレビのリポーターに悪態をつく。いや、あんたがあれを生み出したんでしょうが。企業も徹底した悪になれないし、古参の自衛官が若手の高嶋政伸を認めてあげるひと言もない。

こんだけあれこれあったのににこやかに言葉を交わす二人だけは印象的だった。
「これからどうする」
「ずっと一緒にいるわ」
「家に帰って寝る」
「私も寝るわ」
田中好子のラストのひと言にドキッとするお父さんいただろなw(考えすぎです)。

ゴジラと通じ合える超能力少女が本作で初登場。序盤で姿を消す沢口靖子は、科学者の娘役。この作品からウン十年、僕らは白衣姿の沢口靖子をテレビで見慣れているだけに(笑)、研究室に登場する場面はあの頃にはない説得力w。関西国際空港がまだ建設予定地として登場することに、時代を感じる。

2023年5月にBS12で再鑑賞。鑑賞記録は初回を記す。
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