B級映画みたいな顔して完成度高くてびっくりしたわ!表情筋が久しぶりに動いたかもってくらい笑った。
うだつのあがらない風の警官おじさんは健康診断で余命宣告をされる。
そしたら別居中の嫁と暮らす子供が大学に行くまでのお金が足りるか心配になった。
保険金を確認すると、殉死の場合に限って大金が振り込まれるという。でも実は定年退職まであと一週間というタイミングw
病気でもうすぐ死ぬくらいならなんとか勤務中に死ななければとおじさんいきなりやる気を出し、町で発生する犯罪に自ら突っ込んでいく!
かわいい我が子のため、残り少ないタイムリミットの中で、向こう見ずに奮闘すると人間とんでもない火事場パワーを発揮する。
人生の終わりにやり残したことをやる映画は「生きる」とか古今東西いろいろあるけど、
でも実は余命わずかなのはこの人ではなくて、別のおじさんなのだ。
つまり本当はまだ長生きできる命を、勘違いで5日以内に捨てに行こうとしているのだ!
この決死のドタバタがいとおしく、ハラハラするし、ほろりと泣ける。カーチェイスの緊迫感もすごい。
弾にあたりに行ってもちっとも死ねないのは、幸運の神様が見えない手で守ろうとしてくれているかのようだった。
なんかね~、学生のコンクールに一人ゴーストライターが混じってたみたいな、これ先生が書いたでしょみたいな、抜きん出たものを感じる。
(視力のとこと、ラストどうなった?!のとこ、あと車止めてるとき引きで後ろにバス映り込ませるのとかうまいよね?!)
シナリオが優等生で、80~90年代コメディ映画の定石チェックポイントがあればよく研究したうえで来てるから全部A評価をとれるかんじ。
だからまあ正直何も心に残らない人もいるかも。(ビリーワイルダー並みによくできてるって書いてる人がいた、そうそう)
にしても、もっと多くの人が「ベスト映画10」に挙げてもよさそうなくらいには隠れた名作なのに、全然名前を聞いたことがなかった。
午後ローでやるにしてはハートフルすぎ、金ローでやるにしては地味、午前10時の映画祭でやるにはちょっとくだらない、けど全部の要素を持っているという立ち位置。
邦題もめずらしくいいよね!天国に行けない=何か悪いことしたのかな?って思わせるみたいな。子供語り手じゃないのにパパっていうやさしい響き。
"自分じゃなくて別の人が死ぬなら良かった~"でいいのか?と自責しそうな点も、まあ瑕疵3つくらいあるし仕方ねえなと思えるくらいのバランスよ。
持たざる自分のくだらない人生がこの先も続くと思うと保守的になるし憂鬱になる。でもそんな命でもあることの嬉しさを思い出す。明日死ぬと思って、どうせ死ぬんだから、死ぬ気で頑張ってみよう!