わたP

ルールズ・オブ・アトラクションのわたPのレビュー・感想・評価

2.0
「あれ、こいつ俺のこと好きなのかも」などと思った経験は誰しもあるのだろう。恥ずかしい話、自分にだってもちろんある。
少し優しくされただとかよく目が合うだとか、そんなことから気にかかるようになり、小さな積み重ねが「これは確実にそうだ」と思い込む。そしてそれが思い込みだと気付いた時に、自分の愚かしさと相手への逆恨みが混ざった複雑な感情を青春の甘酸っぱさなどと言うのである。

この映画ではそのような思い込みや勘違いによって起きる心情の噛み合わなさと他者への理解不全を主に男女の3角関係によって描いているのだけど、その舞台というのが、寮生活の大学であって、パーティしまくりキメまくり飲みまくりヤりまくりの悪魔崇拝乱痴気騒ぎの様相を持って描かれる。

メインとなる3人はプレイボーイのショーンと意中の男との処女を守っているローレン、ゲイでショーンに気があるポールで、簡単に言ってしまえば彼らの気持ちの行き違いを描いているだけである。
思うに大学というのは最後の同世代の異性が集まるコミュニティで、狭い世界でのうわさ話が相互理解不全を促進させ、そこには知ったばかりの生々しい性的知識が入り込んでくるから決まりが悪い。

こういった舞台とテーマは個人的にとても興味をそそるものなのだけれど、いかんせんこの映画は、「出来んのだったらやるなよ」と言いたくなるばかりであって残念極まりない。

冒頭のパーティでの巻き戻し演出のアイデアはインパクトはあるけれど、長ったらしくて同時間軸というのを意識させる意図があるにしても彼らの感情の齟齬を描くのに役立っているようには思えなかった。
時折出てくるクレイジーなキャラクターも「そういうようなこと」がやりたいだけに思えてしまって冷めて見てしまう。
あの手紙の正体についてもあんなこれ見よがしな巻き戻しを使って説明してもらわなくてもわかりますよ。はい、こっちは。

どうもこの映画は原作の小説がさらに多面的に描き、そこにいる人々の気持ちの行き違いを描いた傑作であるのらしいけれど、そこまでの描き込みは見せられずに、中途半端に人物を描写して終わってしまっている印象を持った。
わたP

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