にょいりん

ルナ・パパのにょいりんのレビュー・感想・評価

ルナ・パパ(1999年製作の映画)
5.0
砂ボコリが舞う街、走り去る馬群、低空を飛ぶプロペラ機の爆音、人々の喧騒、映画はこんなザワメキと勢いで始まり、その勢いのまま最後まで行く。しかも内戦状態で治安が悪化していてそこらじゅうで銃は撃たれるし、ヒロインの兄は戦場での脳への負傷により幼児のようになってしまっていたり、ヒロインは望まない妊娠をしてしまったり、と描かれている内容はわりと重たい。
なんだか観るのがしんどそうかと思うかもしれないけど、例えるなら「天空の城 ラピュタ」を観ているような気分だった。重くて奇想天外な出来事に天真爛漫なヒロインがひたすら振り回されるのに、そこには人が生きる輝きを感じたりした。
騒がしい勢いのまま行き着いたラストシーンには、この世の不条理から抜け出すような胸が熱くなるファンタジーが用意されていて、本当に観れてよかった。