ムック829

パンズ・ラビリンスのムック829のレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
3.8
スペイン内戦の時代、厳しい現実から逃れるために空想の世界で生きるしかなかった娘の物語。

久々鑑賞。スペインの内戦と空想絡みの映画といえばミツバチのささやきを思い出しますが、
こちらの方がよりファンタジーに、そしてダークに表現されていて見応えがありました。

しかしまあストーリーが辛い。あまりにも辛すぎる。
空想の世界へ逃避することを、こんなにも残酷に描いた作品はないんじゃないですかね?
普通は空想の世界って、辛い現実から逃れるための楽しいものじゃないですか。
なのにその空想の世界でも怖い目にあってしまうというのが、なんともやるせなくて。

結末も私には残酷に思えたけど、不思議と嫌いじゃなかったりする。それは映像の力もあるのかな?
なにせ空想世界の映像が、少女の空想とは思えないくらいエグくてダークなのに惹かれてしまうんですよ。
パンズラビリンスの「パンさん」がそもそも気持ち悪いし。お前ホントに妖精か?っていう。
マンドラゴラの根が赤子のように動く様には、「オテサーネク」を思い出しましたね。オエー。
そんなエグい空想世界において、ラストだけは眩いほど煌びやかな世界が訪れるんです。
その世界が今までのダークさと違いすぎて、より一層美しく思えるんですよね。

キモチ悪いのに美しいと思えてしまう、そんな不思議なダークファンタジーでした。
ムック829

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