プペ

パンズ・ラビリンスのプペのレビュー・感想・評価

パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)
4.5
内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は現実か妄想か。

悲劇的な運命の中で、主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み″光″を見出していくという展開を想像していた。
だが、決してそんな生易しいものではなかった。
どこまでも暗い″闇″の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。


独特のグロテスクなイメージと神話的なイメージがこうも親和するとは驚きだ。
そこに牧神パンと迷宮、少女オフィーリア、伝統的な貴種流離譚が絡み合う。

一見悲壮極まりないエンディングだが、救いが無いとは思わない。
幻想の中で王女に選ばれた彼女は最期のその一瞬間のみは救われていた筈だろうから。

物質的な死と精神的な救いは別に考えるべきである、まさに東洋哲学の始祖、ヤージュニャヴァルキヤの思想。
残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。
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