やはり、この時代の貴族の日本人のことは同じ種族と思えない。
奥ゆかしくて、はかなすぎる。
かぐや姫と同様に天人として捉えている自分がいる。
ただ、目的にそぐわないような、全く合理的でない行動をとってしまう源氏の君は、非常に人間らしいと思う。
そしてこの奥ゆかしさ、はかなさは演出による効果がぞんぶんに発揮されていると思う。
薄絹の打ち掛けの向こうにいる女性。
ちいさな唇。飛んでいった小鳥。雪のように舞う桜。
食事のシーンもなく、アングルが遠く音も遠いシーンが多数。
覗いてよい世界ではないのだろう。
そんな気がしてくる。
音楽(細野晴臣)が非常に前衛的だ。
「藤壷」でArcaの「Vanity」という曲を初めて聴いた時を思い出した。