カルダモン

ターミネーターのカルダモンのレビュー・感想・評価

ターミネーター(1984年製作の映画)
4.8
裸一貫、未来から元ボディビルダーの登場。昔観た吹替版の「真夜中のお散歩だ」ってセリフが強烈で、子供の頃、風呂上がりに素っ裸でマネしてたことを思い出しました。当時はボディビルダーなんて存在も知らないもんだから、やたらと作り物みたいな筋肉がめちゃくちゃ怖かった。この人本当に人間なの?って。
自分で修理するシーンもイヤーな雰囲気がベッタリで、鏡の前の目玉くり抜きなど今見ても不気味な空気感が凄いですね。
一方で、地味に電話帳を調べたり目視で人影を追ったりと、アナログ戦法が愛おしい。ネット検索や高性能なセンサーには頼らない。思わず当時のテクノロジーの限界に遠い目。
ラストにおける上半身だけで這ってくる機械の執念には、楳図かずおの傑作『わたしは真悟』と同じ恐怖を覚える。


ジャンル的にはSFですが、全体のトーンは暗くノワール的で、かつホラー色が強い。レンタル屋ではSFとホラーどっちの棚に並べてもしっくりきます。ベースにはラブロマンスも含まれていたり、もちろんアクション要素も。お小遣いもやりくりできないウェイトレスのサラ・コナーが、未来の指導者の母親になるってのも飛躍していて、SFであると同時に家族ドラマや恋愛ドラマでもあるという、かなり凝った作りで。そう考えると低予算とは思えないほどのサービスに溢れていて驚かされます。



余談
少し前にTVを眺めていたら〈20代〜50代が選ぶSF映画ベスト10〉みたいな特集をやっていて、2位が『ターミネーター』でした。マジで?コレが?一般ウケすると思ってなかったので意外でした。多分、世間的には『ターミネーター2』なんじゃないですかね。親指立てて溶鉱炉INのシーンとか、液体金属のT-1000とか。1作目にはそういうキャッチーさがまったくないのが良いですね。無骨さが作品とマッチしてます。


物語は40年後に核戦争なんてことを言ってますけど、シュワが後のカリフォルニア州知事になる未来の方が信じ難いですよね。殺人マシーンが州知事!?って当時は衝撃でした。