あや

夏の遊びのあやのレビュー・感想・評価

夏の遊び(1951年製作の映画)
4.6
バレリーナのマリーの元に古い日記が届き、マリーはある夏に出会った大学生のヘンリックとの日々を回想する


白黒だけど、北欧の夏が色がついているみたいに輝いている。ゴダールが「最も美しい映画」と評し、ベルイマンもこの映画を自身のお気に入りとしています。

マリーはヘンリックとの日々を「宝石のようで」と回想していますが、本当に言葉と違わず二人が過ごした夏はかけがえのないもの。こんなにキラキラしているのに不気味な老婆とすれ違うシーンや、マリーが風の音に怯えるシーンなどから若さには死や老いがつきまとっていて、二人がいるのは夢のような世界や永遠ではないことも示している。

でも二人がいっしょに過ごしているのは本当に愛しくて…
マリーを見つめるヘンリックの視線、大切な人に教える苺の場所、暗い小屋で明かりを灯しながらマリーに絵を描くヘンリック。誰だって二人みたいに大切にしておきたい思い出はあると思う。
しかしラストはマリーが過去と決別し、前に進むことを決めた晴れやかな表情で希望が持てた。


「でも日曜だから宝石店も閉まってるよ」
「いいの、草で作った指輪と24カラットのキスがあれば。」
の会話が好き。
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