ヨルゴス・ランティモスの変態的世界。もう、冒頭から不可解でシュール。だけど、家父長制を強烈にデフォルメしまくったらこうなるのかも!?
家族を絶対的に守らねばいかん!と、どんな手を使ってでも威厳を保とうとする父。そのためなら嘘や自作自演は当たり前(玄関外に放り出された飛行機のおもちゃを、わざわざ車で数センチほど出て拾うところ笑える)。暴力だって振るう。威厳がなくなったら家族は自分を見放すかもしれない。夫に責められ涙するしかない母。子どもたちを躾け、新たな子どもを産むことでなんとか取り入ろうとする。
「家族」の概念に縛られ、それぞれが役割を全うしようと必死で滑稽。世界に未だ横行するバイアスや理不尽な主従関係に対する強烈なアンチテーゼを感じた。