KUMA

籠の中の乙女のKUMAのレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
4.3
狂気。最高に狂ってる。
この監督のセンスは尋常じゃないですわ。

塀に囲まれた家で暮らす家族達。
その言動から、3人の子どもたちは塀の向こうになにがあるのかを知らないようだ。
両親が子ども達に対して行う教育は徹底していて、悪影響を与えるような言葉や、家の中以外を想像させるような言葉は別な言葉に置き換えられている。
テレビでは塀の中で撮ったビデオだけが再生され、電話は子どもたちの目につかないところへ隠されている。
塀の中では父の命令は絶対で、母や子どもたちはまるで主人の命令に従う飼い犬のように、従順に塀の中で生活を送る。年頃の息子の性生活も父に管理され、まるで自由も尊厳もないが、塀の中ではこれが日常なのだ。
このあまりにも異常な日常を、まるでおかしくないかのように魅せるこの映画はなかなか危ない。取り込まれそうになってしまう。しかしこの危うさがクセになる。

まだまだ作品数は少ないけど、ヨルゴス・ランティモス、要チェックですね。これからの作品も楽しみ。
KUMA

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