洋裁学校内部での豪華女優陣による濃厚な女性たちのやりとりもさることながら、それに負けず光を放っているのが一見彼女たちに忠実ながら口説いてモノにして自分の出世のために利用していくピカレスクな魅力のある口八丁手八丁なマネージャー田宮二郎。『悪名』も犬シリーズも黒シリーズも『白い巨塔』も、軽快に関西弁を語り舞うように仕事をこなしてスマートに女を寝とるこの役をこなせたからこそ出来たとも言える。あとモテるけど意気地のない男をやらせたらピカ一の森雅之や、純情そうで実はしたたかで計算高い中村玉緒の仕事振りも最高。
50年代に女性映画の傑作を連発した吉村公三郎=新藤兼人コンビは華やかな業界で生きる女性たちの裏側を見事にあぶり出し、山崎豊子ワールドに更なる厚みを加える。あと合間に見せる女性たちのリアクションがいかにもありそうなもの(例えば若尾文子が嫌いな銀四郎を嫌な先生の名前を呼ぶように語るとか)でこれがあるとないとではリアリティに大きく差が出てくるはず。
ファッションという世界の裏に隠された欲望が吹き出してにじみ出たかのような暗く染まった色調によるラストが怖い。