悪魔の毒々クチビル

さまよう魂たちの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

さまよう魂たち(1996年製作の映画)
5.0
フランク・バニスターはとある出来事をきっかけに霊能力に目覚めてから、助手の幽霊達にわざとポルターガイストを起こさせ、それを徐霊しに行くという詐欺紛いの仕事をしていた。
ある日、いつもの様にとある夫婦の元へ徐霊をしに行った時、夫の額に謎の数字が刻まれているのを発見する。(普通の人間に見えない)
後日、その夫が急死。
この事件を調べていく内にフランクは、自分の凄惨な過去とまた向かい合わなければならなくなり…


何回観ても最高なんじゃ。

ピーター・ジャクソンとフランシス・ウォルシュと言う安定かつお馴染みの組み合わせですな。
とは言え、「ブレインデッド」や「ミート・ザ・フィーブルズ」の様なカルトっぽさを期待するとちょっと肩透かしを喰らうかもしれません。
全体的にはかなり観易いホラーコメディとして仕上がっているからです。
でも、個人的にはああいうカルト的な魅力が激減してもこんなに面白い作品が作れるんだなと、寧ろプラスに捉えています。

フランクを演じたマイケル・J・フォックスは相変わらず素晴らしい。
BTTFシリーズでもそうだったんだけど、「ちょっとハッタリ利かせた感じの格好良さ」と「結局元々持ち合わせている格好良さ」の両方を上手く使いこなしていて、改めて魅力的な俳優だなと痛感しました。

で、あんまりカルト要素がないって書きましたけど、勿論残ってはいます。
例えばジェフリー・コムズ演じるダマーズ捜査官。彼の存在そのものです。
ホラーファンにとってはお馴染みの人物かと思います。
正直言うと彼の出演作を全部観たって訳ではないのですが、俺は今作でのジェフリーが一番のお気に入りです。それこそ「死霊のしたたり」よりも。

常に神経質そうな挙動で目付きはやたらねっとり陰湿。ヒロインがちょっと声を荒げただけで「ひぃっ!」と陰に隠れる小心者。
しかしながらその陰湿さを活かした尋問は観ていて中々ウザい上にキモい。(褒め言葉)
中盤辺り、フランクを尋問する場面はとても見応えがありました。
途中で彼のバックグラウンドも少しだけ明かされるのですが、これが結構エグい。
コメディタッチで描かれているから観てる時はそうでもないんですけど、冷静に考えれば相当狂っていらっしゃる。
終盤はマシンガン片手に暴走してくれて、最高でした。
表情もいちいちねちっこくてイイネ!!

あとリー・アーメイがいつもの感じで出ています。
他にもディー・ウォレスやジェイク・ビジー等々、個性的な面子が良い味出してます。

脚本もホラーコメディをメインに、サスペンスな一面を見せたりと意外性、と言う程ではないですがこちらを飽きさせない作りになっていました。

ゴアシーンですが、この映画では幽霊の顔面が削がれたり全身ミンチになったりと幽霊側が主に残酷描写の対象となるという、割と珍しいパターンでした。
逆に自分の不死身っぷりを活かして自分からミンチになるシーンとかは、普通に笑えました。

BTTFファンはマイケル・J・フォックスのいつものクールさを、ホラーファンはジェフリー・コムズの怪演を、どちらも大好きな人はこのレアな組み合わせで起こる超楽しい物語を楽しめる最高な一品でございます。