悪魔の毒々クチビル

リゾートバイトの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

リゾートバイト(2023年製作の映画)
2.8
「急げ。視えてからは恐ろしく早いぞ」

小さな島の旅館にバイトをしに来た大学生3人を襲う怪異のお話。


「洒落怖」の同名タイトルの話を長編映画化した作品。
一時期なぜか洒落怖の話を一気読みするのにハマっていて、これも勿論読みました。
今となっては細かい内容までは覚えていませんが、怪談話としては普通に楽しめたので割と期待はしていたこちら。


うわ酷ぇ、とまでは言わずとも面白くもなければ最悪でもない絶妙な薄味具合でした。やってることは振り切っているのになぁ。

まず元ネタとの変更点として、大学生3人組が全員男だったのが男1女2という内訳になっています。
ここに関しては別にマイナスになる程の事でもないんだけど、「普通この割合の面子で泊まり込みのバイト行くか?」と言う疑問は払拭出来ませんでした。
「お前が非モテだからだろう」と思ったそこの貴方、面白いヤツだな、気に入った。殺すのは最後にしてやる。

それ以上に大きな変更は後半のわちゃわちゃした展開。
他の怪談から出張してきた要素まであったりと、やりたい放題な流れは嫌いじゃないんだけどここからほぼコメディ化します。
そしてそのコミカルな演出やら何やらが丁度笑えないし盛り上がらないんですよね。
中盤辺りまでの旅館に隠された部屋の不気味さとか、程よい気色悪さはあったのにそこをかなぐり捨ててまで大胆に路線変更した結果、意外性は間違いなくあったのに「ふーん…」で終わってしまう味気なさだけが残りました。

それと旅館の女将さんってもっと狂気あるキャラだったような気がしたんだけど、ごちゃ混ぜバカホラーにしたせいで存在感が大分薄れてしまいましたね。
コメディリリーフ的な従業員のおじさんも、後半の展開の為に追加されたキャラなのかは知りませんが、妙に浮いていました。こいつのせいであんな事になった訳だし、もうちょい男気とか見せられなかったのだろうか。
主人公があの部屋に単身忍びこんだ時に「これ…爪?」とか「これ…歯?」みたいに、わざわざ口に出さんだろって思うような説明的な台詞も要らなかったかと。流石に見れば分かるし。

元ネタ知っているからこそガッカリした部分はあったけど、もし知らない状態で観ても結局評価は変わらないであろうタイプの作品でした。
素材的に上手く深掘りすれば中々良いホラーが出来上がったんじゃないかと思うんですけど、どうなんでしょうね。
最近ずっと「FF7 リバース」ばっかやっていて、10日ぶりくらいに映画を観たけど何やかんやで映画って良いよね。
よし、書き終わったしリバースやるか。