バナバナ

墨攻のバナバナのレビュー・感想・評価

墨攻(2006年製作の映画)
3.7
墨家という集団が実在していたなんて、全く知りませんでした。
中国の戦国時代って、日本みたいな山城じゃなくて、広大な土地の中の城壁に囲まれた都市を攻めるので、ギリシャやローマ帝国の戦い方と似てるんですね。

映像的には、小国・梁が墨家の革離の指導を得て、大国・趙を退けようとする闘いのシーンがほとんどなので、地味です。
でも、狡猾な梁王に対して、革離、皇子、弓部隊の隊長、女性騎馬隊長の逸悦などが、控えめな演出ながらも魅力的に描かれ、また農民や領民達が、実際の戦争では権力者達にこんな風に振り回されていたんだろうな、というところがリアルに描かれています。

ただ、それまでの革離が孤独な闘いを続けながらも鋭敏に動いていたのに、逸悦を助け出そうとするところだけ、「最終的に蹴破って開くんだったら、最初から一つずつ潰して覗いたらすぐ見つかったんじゃないの?」と思えるくらい、えらく緩慢だったので、あそこだけ浮いて見えました。
もうちょっと違う演出にして欲しかった。

ラストは、戦争の本質を突いていてカタルシスはないので、気真面目な作りの映画でした。
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