図師雪鷹

アダプテーションの図師雪鷹のレビュー・感想・評価

アダプテーション(2002年製作の映画)
4.1
評価ちょっと低くない?もうちょっと高くていいと思うんだけど。

これは、ニコラスケイジ演じる脚本家チャーリーカウフマンの物語。ちなみに、チャーリーカウフマンという男は実在しており何とこの映画の脚本家だ。面白い。『マルコヴィッチの穴』を大成功に収めた彼は今、大きな困難に直面している。スーザンオーリアン作『蘭に魅せられた男〜』を映画用に脚色しようとしているのだが、その本はドキュメタリー的で、映画的なストーリーがあまりないため映画として面白くなるように脚色するのが難しい。しかも、彼にはプライドがあり、原作の良さをそのまま残しつつ面白くしたい。悩むチャーリーカウフマン。私生活もあまりうまくいかず、女性とデートにこぎつけてもなかなか最後までいけず苦しむ。しかも、弟のドナルドカウフマンが、スランプに陥っているチャーリーの脚本の執筆の邪魔をするだけでなく『俺も脚本家になるぜ!』とか言い出す。たまったもんじゃない。
一方、原作本の作者スーザンオーリアンは数年前から蘭に魅せられた男であるジョンラロシュの取材をしている。
そして、この、脚本側・原作側の二本の軸が奇妙な形で交わり合う。

正直言って、脚本側と原作側が関わりあうのは当然のことなのだが、チャーリーカウフマンの場合少し違う。女性との関わりに自信を持てない彼は、頑なに原作者の彼女に会いに行こうとしない。もちろんそれは異常なことなので弟のドナルドは『行かないとまずいぞ!』と言うのだが…なかなか行かない。

だが遂にチャーリーは一歩踏み出す。彼はドナルドと共に彼女とラロシュを尾行し、2人のことを知ろうとするのだが、兄弟がそこで見たものとは…という感じだ。

この映画で注目すべきは主に兄弟の関係、スーザンとラロシュの関係だ。後者はネタバレになるので言えないが、前者はとにかく非常に笑える。最初は兄のチャーリーは脚本の完成のために頑張っている真面目な人、弟のドナルドは兄の家に居候してグータラして好き勝手なことをいう人という印象だったが、だんだん変わっていく。特に弟のドナルドの印象の変化は大きい。そしてこの兄弟の結末をあのような形にしたストーリーには、非常に脚本家の手腕を感じた。
つまり、普通に面白かった。
特に、創作をしている人は見るべき映画だと思う。
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