ガブXスカイウォーカー

伊賀忍法帖のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

伊賀忍法帖(1982年製作の映画)
4.5
フォロワーのmitakosamaさんのレビューを読んだら面白そうだったので、数十年ぶりに再鑑賞したところ、これが大当たり。昔よりも楽しめた。

なんと言っても、若さ溢れる真田広之と渡辺典子がまぶしい。真田広之はスタントなしで危険なアクションをこなし、渡辺典子は内気な姫・右京太夫、処女のくノ一・篝火、悪女・鬼火の三役を見事に演じ分けている。
もう一人のヒロイン、美保純も忘れてはならない。出番は少ないながらも、彼女もまた松永弾正の冷酷な侍女・漁火と顔を変えられた篝火(ヌードのレイプシーンあり)の二役を好演している。

主人公たちを幾度となく追い詰める妖術僧軍団は
果心居士(成田三樹夫):正体不明の幻術師。五人の妖術僧を率いて、松永弾正の野望に力を貸す(真の目的は不明)
羅刹坊(風祭ゆき):男装の女。投げ鎌の使い手。セックスで相手の心を盗める(ヌードあり)
金剛坊(ストロング小林):ハゲ。怪力の巨漢
水呪坊(佐藤蛾次郎):天然パーマの小男。ゲロを相手の顔に吐きかけて窒息死させる
破軍坊(浜田晃): 盲目。顔に傷跡がある。目や腕から無数の針を発射する
虚空坊(福本清三):茶髪。 薙刀の使い手。死者を復活させることができる
全員、最高の怪演ぶりである!

そして、松永弾正役の中尾彬の邪悪ぶりは真の主役かと言うくらい際立っている。柳生新左衛門役の千葉真一はお得意の梳かした芝居がかっこいい。三好義興役の松橋登のお坊ちゃんぶりと発狂する演技は素晴らしい。本作は主要キャラの数を絞り、その各個性を存分に描いている。

また本作の目玉とも言われている、製作費4億5000万円の内、美術費1億5000万をかけた、東大寺の1/6セット、実物大の仏像などの炎上シーンは迫力だ(燃えさかるセットの中の、真田、渡辺、ストロング、福本らのアクションも要チェックだ)。

やはり僕にとって世代的に角川映画の存在は大きい。今作はアイドル映画だと言うのにエログロバイオレンスが目立つが、娯楽アクション映画として非常に楽しめる。また忍者と姫の階級を超えた愛を真正面から描いており、現在の目で観ると新鮮でもある。角川映画全盛の古き良き時代の傑(怪)作時代劇としてぜひ一度鑑賞してほしい。