シェパード大槻

ブエノスアイレスのシェパード大槻のレビュー・感想・評価

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)
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滝の映像、アレを言葉では表せないけど、滅びると同時に生まれる生命のような、流体的音楽のような、自分の中のことのようなあの矢場イ✴︎映像。あんなのが撮れちゃったら映画を作る勇気も殊更必要だろうにね。
日常というものは嫌いだけど、ウォンカーワイが描く場合だけ、美しい日常というのが可能である。粗雑も残しながら。卵の殻を投げてもゴミ箱に入らない時、汚いタイルの部屋でダンスする時、不貞腐れて少しモノを投げる時。あの投げる手癖なんて結構美しかった。伏線や大オチのないリアルの中で、あの人の写真を見つけたこと、それで会いたい人に会えるって確信したところが、大事だった。
ウォンカーワイはアジアの人なのにアジアを認識している。演出している。彼は外からの視線を持っている?
細切れの音楽が散りばめられていることによって観る人にとってその音楽は印象的になる。