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オルエットの方へのcyphのレビュー・感想・評価

オルエットの方へ(1970年製作の映画)
4.6
女の子3人がずっと笑ってる映画って聞いてたけど大体そうだった パリの職場から始まり職場で終わるバカンス映画 違う服を着て違う場所で男女が出会い直す話、という骨格はメーヌオセアンと同じだけどバカンスパートの生っぽさ・煌めき・冗長さ(もちろん素晴らしさの言い換えでもある)は圧倒的に群を抜いてる ほぼホームビデオに近く、カメラが透明になる感覚、観客たるわたしたちがそのバカンスの時間の中に存在するような感覚に浸っていたら3時間近く経っていた…という体験

序盤は「ギャル最高…」の気持ちでニコニコ彼女たちの笑い声をずっと聞けてたんだけどウナギのくだりあたりから「だからわたしは文系クラスを選ばなかったんでした(年ごろの女の子のハイテンションの渦が苦手だったから)」という感覚をまざまざ思い出してつらくなってしまった、けどヨット乗りの青年が現れたあたりからちゃんと無敵の女の子3人にも気まずさの影が立ち込めてきてまたぐんと最高になった ヨットのシーン、よすぎる 海のひかりの意味わからない最高さを撮らせたら世界一だな

上司のジルベールがアナゴをせっせと料理するけどぜんぜん空回りになっちゃって「大きすぎて時間がかかった」って何度も口に出してみるけど何にもならなくて…の気まずさもよかった ハーレム物の主人公かいって展開に若干鼻の下伸ばしながらもいまちち浮かれきれない堅物さも好ましかった、上司の顔を脱ぎきれない哀れなジルベール

ワッフル屋も帰るっていうしもう潮時かぁってなってからその日のうちに支度してバカンスを終わらせる潔さもいい 永遠に続かないからこそのバカンス それでもエクレアを鷲掴みにして食べたりバルコニーで水着で踊ったり貝獲ったり馬乗ったり、ピカイチに楽しい時間もあったよね
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