hajime363

イディオッツのhajime363のネタバレレビュー・内容・結末

イディオッツ(1998年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

“内なる愚か者が友を求めている”

相変わらず人間の業を全肯定で大好きですよ。
初期作品以外は観ていますが今回初めて感じたこととして、監督の表現ってすごく優しい気がする。
というのは前述の通りで基本肯定的ということ。描かれるテーマ(主張)は監督にとっては確固たるものであり明確だから、“投げかけ(問題提起)”とは違った共感する者に寄り添う優しさ。
(“投げかけ”の余韻とか余白も大好きです)

◆愚か者
それは知能に障害のある様子を演じることで“他者を考慮しない”振る舞いを公に行うことであり、亡くなった我が子を弔わないこととして描かれる。
品位(正義や道徳など広範な行動規範を含む)により制約される欲求の解放。

カレンは我が子の死を受け入れきれず家族から非難を受けるが、“愚かな友”による欲求の解放を通じて自己肯定感を取り戻していく(決定的だったのは本当に障害を持つ人々との交流であるが…)

悲しい現実から目を背けることが品位に欠ける行動なのか?その欲求は恐らく生来のもの(人間性)であり、たとえ非難されようとも肯定する姿勢を崩してはいけない。

◆友
ある期間、価値観を共有できた(と思える)人生の貴重な瞬間。
その撮影手法も相まって、とてつもなく美しくてエモーショナルな映像になっていると感じます。
下北にいる小劇団みたいなね、超憧れるわ~


◆蛇足
障害のあるふりをして無銭飲食をする描写ってMr.ビーンにもあった気がする(腹よじれるくらい笑った)
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