NORA

レディ・イン・ザ・ウォーターのNORAのレビュー・感想・評価

4.1
その名も”ストーリー”なる妖精をめぐる物語。この時点で比喩的というか、そもそも比喩になってねえよって感じなのだが、極め付けは「世界を変える本を書く」作家の役を、他でもないシャマラン自身が演じるという臆面もないナルシシズムによって、多くの批評家・観客からは強烈な拒否反応を受け、興行的にも大敗した。そのほか脚本面でも齟齬が多く、不細工な映画であることは否めない。
一方、たとえば僕のように、その愚直なまでにストレートに表現された作家性、あるいは「物語の力」を心底信じこみ、それで世界を変えられると本気で考える、ほとんど狂気と紙一重の「信仰」に驚愕し、才能があるのかないのかわからんこの奇才に惚れ直した人間も少なくない。良くも悪くも前期シャマランの集大成と位置づけられる作品であり、本作を許容できるか否かが、シャマラニストにとってひとつの試金石ともなり得る。
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