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散歩する霊柩車の3104のレビュー・感想・評価

散歩する霊柩車(1964年製作の映画)
4.0
《女房の浮気に悩まされる小柄なタクシー運転手が、女房が自殺したことにしてその情夫たちから金を強請ろうと霊柩車に乗り浮気相手を脅しに回るが・・・》

シュールかつコメディチックな絵面が浮かび、期待して観に行く。
いざ始まると“霊柩車の散歩”シーンの割合はわずかで、話は新しい方向に転がりだす。ではどうなるの?と観ているといきあたりばったり風な展開が続く。構成、演出があまり綿密でないのか?・・しかしそれは作品の瑕疵にはならず、最後の最後まで楽しむことができた。「スリラーコメディ」という惹句にたがわぬ出来栄え。

主役の西村晃は表情(もはや顔芸)、所作、おまけに謎の歌唱と大活躍。ザ・西村晃ショーとでも言うべき八面六臂。その妻役が春川ますみという絶妙な塩梅。これがスリムでクールな美人だとコメディ風味が薄れてしまう。グラマーで肝心なところが抜けている役柄に春川がピッタリ。

ジトっとした目の奥に“本性”を見たり渥美清、なんでこんなのが揃いも揃って深夜の病院で働いているんだ加藤嘉/小沢昭一/浜村純など脇役陣も充実。西村が人を襲うシーンのBGMが昭和特撮ぽいなと思ったらやはり音楽は菊池俊輔。

霊柩車が踏切を通過するシーンで電車とスレスレだったがあれは実写か?合成か?気になって仕方がない。
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