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隠された記憶のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

隠された記憶(2005年製作の映画)
3.5
ハケネ監督の2005年公開のサスペンス映画。

テレビキャスターのジョルジュ、出版社に勤める妻アンヌ、息子・ピエロの一家の元に奇妙なビデオテープが送られてくる。ジョルジュ宅を外から隠し撮りした内容のそれは、その後も不気味な絵と共に送られ続け…というサスペンススリラー。

このよく判らない不安感、この感覚は「あるある」だった。
例えば誰かの陰口が聞こえてきたが自分なのか他の人なのか、自分なら何か言われるようなことをしたのか、そういうはっきりしない不安ともやもやした気分をずっと引きずる感じ。

「誰が」というのは観客に委ねられているため作中では犯人を示さない。
でもある程度目星がつくように映像が差し込まれているのが、監督の細やかな道標(余計にややこしい場合も 笑)

この作品は「疚しさ」「罪悪感」がテーマ。かつて嘘をつき移民の子への教育の機会を奪ったジョルジュの罪悪感の根っこはこの過去だと思うが、無意識に移民に対してのマイナスの感情があり差別的な感情を抱くことへの疚しさもあった気がしてならない。

片やアンヌ。息子へは否定していたが不倫は真実に思える。夫への疚しさがあるから、彼が隠し事をする度にあれほど怒ったのではないかと思った。

今作は落ち込むことが無かったが、移民問題が身近ではないことも関係していると思う。
(正直あの事件まで気にかけたこと無かった)

あと子供のSOSに鈍感だと、一緒に追い詰められるというひたーっとした怖さがあった。

★以下ネタバレのためコメ欄