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暗殺の森の3104のレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.2
画の見せ方、切り取り方、空間の使い方、色使い、説明調をなるべく排した科白、表情。それらの要素が醸し出す空気感。
特に画面の見せ方は、時として「スタイリッシュ」という言葉のマイナス面のニュアンスを感じさせるような“ドヤ顔”的なきらいもあったが、かえってそれくらいしてくれたほうがいいとも思った。そういう自己主張が味わえただけでも、この映画を劇場の大きなスクリーンで観た甲斐があったというもの。

ストーリーは勉強不足・予備知識のせいか、難解でわからぬところもいくつか。デリケートな時代の国の背景などは正直こちらに届きにくいもの。しかし先に述べた絵的な魅力により物語の最後まで飽きずに連れて行かれる。

映画全体に漂う妙に妖しい色気。
物語の起点がホモセクシャルだったせいか。そうか色気というより(やや安易な響きも持つが)狂気なのか。最初からバランスが崩れている。崩れた人も何人か登場する。残酷と甘美。

少し残念だったのが終わり方。
作品として“落とし前”をつけなくてはいけないのかもしれないが、一番最後のパートで失速し、甘美な霧の中から抜け出てしまったような印象。しかし最初の起点に還る構造といい、やはりなくてはならなかったのであろう(と納得)。

あとこれは作品の決定的な瑕疵ではないが、どうしても気になったのが中華料理レストランでの箸の使い方。あれはヨーロッパ人から見ればOKなのか?それとも滑稽なのか?
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