JunichiOoya

チャイニーズ・ブッキーを殺した男のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

4.0
稼業としてやってることは裕次郎のそれと大差ないように思うのだが、ベン・ギャザラのストリップ小屋オーナーはどん詰まりの閉塞てんこ盛り。

必死に商売に精出してようやく返した借金は一晩でその何倍に生まれ変わって彼の前に立ちはだかる。そもそも最初の借金だってどんな経緯で生まれたものやら…。

どんなトラブルもドラム叩いて歌えば解決できてしまう、悩みや悲哀からは遠い、東洋のにいちゃんとは違って、フィルムノワールの中年男はひたすら破綻への道をまっしぐら。

踊り子もボードビリアンもバーテンダーも、それぞれに良い人達だし、みんなで歯を食いしばって稼業に精進すれば、それなりに人生を回していけたかもしれないのに…。
「自分一人でやってやるわい!」的な主人公の孤独と不遜がどうにも哀しいし、いつのまにやら共感してしまってもいるという、正統的なノワールの楽しみ方ができる映画。
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