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お茶漬の味のkojikojiのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
3.8
1952年 監督・脚本:小津安二郎、脚本:野田高梧 #2022ー344
●佐分利信(茂吉)
●小暮実千代(妙子)
●津島惠子

 田舎の家に生まれた夫茂吉と、裕福な家庭で育った妻妙子。生活や価値観が全く異なる1組の中年夫婦は、結婚してからずっと、そのギャップに悩む日々を送っていた。
 しかし、急に決まった夫の海外出張が飛行機の故障で翌日になったことをきっかけに、2人は夜中に「お茶漬け」を食べながら少しずつ和解していく。妙子が茂吉の魅力を理解していく過程が非常にうまく表現されている。このあたりは流石に小津作品、なかなか描けない絶妙の感情表現と思う。

 佐分利信が田舎育ちの愚鈍とも言える夫を、いつもの頑固そうな部分を完全に消しさり、非常に穏やかに演じて新鮮だ。
 小暮実千代は適役。いかにも都会のお嬢さん。わがままな自分の思い通りに生きている。似合うはずのない二人が、妻が夫の魅力がわかった時、本当の夫婦になる。
 
 夫こそ「お茶漬けの味」の味なのだ。

 中年夫婦のドラマに加えて、若々しい鶴田浩二、津島惠子の存在が違う価値観としてドラマを膨らませている。

死ぬまでに観たい映画マイベスト1000ー125
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