困ったちゃん

お茶漬の味の困ったちゃんのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
3.9
小津作品を初観賞。車や電車に揺られるシーンだとか修善寺の宿屋のシーン、そして夫婦が日々暮らす居室内のシーンなどから受ける“きちんとした”印象。

きちんと整った場面上に据え置かれた決して人格的に整っていない登場人物と下世話な会話。これがクスッと笑えていい塩梅なんだな。現代の奥様方の立ち話とそう変わらないセリフを発する木暮実千代の毒々しさもいいが、それより何より佐分利信の醸し出す大人の余裕あるカッコよさに不覚にもドキドキ…。

終盤妻が言う。「ネクタイの柄がどうだとか着こなしがいいだとか、そんな事どうでもいいの。男の人の頼もしさっていういうのかな、それが一番大事なの」これと真逆の上司を持つ自分は大きく頷くのであった。

滋味のひと言に尽きるお茶漬けの味だった。
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