みかんぼうや

バーディのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

バーディ(1984年製作の映画)
3.6
ベトナム戦争後にPTSDを患う2人の若者を描いた作品。顔に致命的な怪我を負ってしまったアルと丸くうずくまったまま一切の言葉も発せられなくなってしまったバーディの姿から、戦争シーンはほぼ無いものの、戦後のPTSD状態をストレートな手法で見せ、戦争の代償の酷さを存分に見せる作品。

・・・ですが、必ずしも全てがストレートとは言えず、主人公のバーディの設定が、鳥を愛し鳥に憧れ人とのコミュニケーションがあまり得意ではない、というやや特徴的な設定だったり、なんと言ってもラストの展開が、監督の戦争や戦後の兵士たちのケアに対する“皮肉”がギュッと込められたある種のブラックジョークのようで、これは忘れることはないだろうという、“衝撃のラスト”の1つでした。

戦争シーンはほとんど登場せず、戦後のPTSDに苦しむ実態の中に、出征前の楽しかった思い出を回想シーンとして挿し込むことで戦争の前と後の格差を強調し、死せずともその後の人生を奪われた悲惨さを描く見せ方は王道的な見せ方だけに、あのラストは意外でした。

序盤の流れから「ディア・ハンター」的なものを期待した私としては、途中で挿し込まれる2人の戦前の美しき友情エピソードはそこまでパワフルな内容とは感じず、ラスト直前までは若干物足りなさを感じていましたが、最後の最後で、しっかりお腹いっぱいになりました。

アラン・パーカー監督の作品は「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」も以前からずっと気になっていたので、本作を機に、早めに観てみたいと思っています。
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