櫻イミト

ファウストの櫻イミトのレビュー・感想・評価

ファウスト(1926年製作の映画)
4.5
「サンライズ」(1927)のムルナウ監督が前年に制作したドイツ最後の作品。ドイツの文豪ゲーテの「ファウスト第一部」を翻案して映画化。メフィストを演じたのは名優エミール・ヤニングス。

天使と悪魔メフィストが賭けをする。真面目な老学者ファウスの魂を悪魔が奪えるかどうか?疫病ペストの猛威に絶望していた医学者ファウストは、メフィストの誘いで悪魔の力を得て死者を甦らせる。聖なる心を失った自分を嫌悪していると、さらにメフィストは若返りの誘惑をちらつかせ悪魔の罠にはめていくのだった。。。

冒頭から凄まじいモノクロ特殊効果が続く。デミル監督「十誡」(1923)の特殊効果も大好きだが、本作と通底した美学がある。中盤にメフィストのコメディシークエンスがあるものの、映画的テンションが最後まで上がりっぱなしのままゴールした。ウーファ社史上最高額の予算をかけた(翌年「メトロポリス」に抜かれる)特撮とヤニングスの怪演で繰り広げる、怒涛エンターテイメントな一本。

個人的にはムルナウ監督のベスト作。この映像で「デビルマン」を観てみたかった。
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