Qちゃん

反撥のQちゃんのレビュー・感想・評価

反撥(1964年製作の映画)
3.8
同居する姉の無遠慮な性生活をきっかけにどんどん妹の精神が崩壊していく様と、女が男に感じる脅威や恐怖、嫌悪感を、生々しさやグロさ一歩手前でアート的に描き出している。

オープニングがヒッチコックの「めまい」のパロ臭いが、本作のいろんな表現方法は後発の多くの映画でも模倣されてる。「シェラデコブレの幽霊」に続き、デヴィッドリンチに影響与えてるのも見えた。「イレイザーヘッド」の鶏の原点や、夢幻の実体化の表現はココから来てる気がする。視覚的な見せ方だけでなく、音響の使い方が絶妙。あんなに不愉快で不穏な時計の音、それだけで主人公の状態を追体験してる気になる。

こんな同居生活は嫌だあるある。大学時代、友達の寮のルームメイトが取っ替え引っ替え違う男連れ込んでイチャついて、そのたびに部屋から追い出されて、ブチ切れつつ完全に男嫌いになってたコがいたの思い出した。

この姉ちゃん遠慮なしか。「関係ないでしょ」じゃねえ、毎日うるさいわ!(白黒だと職場友達と姉ちゃんの見た目が被る。。)何度も聞かされる性行為の嬌声と、絶望と恐怖で自然に口から漏れる嘆息が同じに聴こえる。エクスタシーと恐怖が表裏一体かのような皮肉。

言ってやれよーと思うけど、何も言わず、ただただ内に溜め込み続ける妹。年相応に性的衝動や男性への憧れは感じつつも、性行為に恐怖を抱き、その矛盾が心を蝕んでいく。あのセクシーで男手玉に取るイメージの強いカトリーヌドヌーブが男に深い嫌悪感を覚える内気な女性役なことが、それだけでビックリするほど新鮮。

ラストは上手く見せたモンだね!根本要因は既に過去にあったと、何も言わずに事情を伝える手法が凄い。
Qちゃん

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