ひでG

蜘蛛巣城のひでGのレビュー・感想・評価

蜘蛛巣城(1957年製作の映画)
3.8
黒澤明のDNAは常に「面白い映画の素はないかあ〜」て、アンテナ張ってたんだろうな、

そして、ひらめいたら、綿密な脚本と絵コンテの制作に取り掛かったんだろうな。

大胆さと繊細さ、
クリエイターとチャレンジャーを同時に兼ね備えた巨星。

マクベスを時代劇で、
しかも、そこに能の動きを加味させる

こんな斬新で、制作中の段階からワクワクする企画を打ち出す人がいたこと、すごい、誇りに思うね〜

どの場面も怖いほど静かで、靄がかかっていて、幻想的なまま進んでいく。

この話は本当なのか、悪夢なのか、
三船敏郎の最期さえ、どこかこの世のものとは思えない。

武将二人がお殿様から城持ちを任じられた時の二人の表情。
怖いですね〜、光の当て方とかも上手いですね〜!

マクベス夫人?を演じた山田五十鈴の迫力ある演技!

霧の深いところから、だんだん何かが浮かびあがるシーンも印象的!


ただ、迫力のある、観客の眼を釘付けにするような絵【場面】はたくさんあるのだが、
映画全体の印象は、他の黒澤作品と比べてやや弱い。

完全にダークな部分をクローズアップさせている映画だから仕方ないけど、息苦しいし、テンポがなく、先が読めてしまう点は否めない。→みんなが知ってる話ではあるのですが、

人は運命そのものに左右される
という普遍的なテーマ、あまりにもうまく作られ過ぎているのだろうか?

マクベスは完全に時代劇にはめることはできたけど、能の動き自体は、ややドラマとしてのテンポを下げてしまうのかな。

この映画のやり残したことを「影武者」や「乱」で追求したかったのかもしれないね。
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