いかえもん

ザ・セルのいかえもんのレビュー・感想・評価

ザ・セル(2000年製作の映画)
3.7
ちょっとホラーっぽいのを観たいなと思って、この映画にしてみました。
人の心の中や夢の中に入っていくという設定の映画で私が思い出すのは、古くはヒッチコックの「白い恐怖」、あと「インセプション」とか「アイデンティティー」かな。こういう設定をされた映画の魅力は、夢の中の幻想的な風景が映画の中で再現されることなんだけど、それってそれぞれ見る夢は違っていてもなぜか共通して夢ってそういう感じよねーっていう感覚が共有できておもしろい。

患者さんの頭の中に入っていくことで潜在意識に語り掛け、心の病を治療するという方法を試みている研究機関。そこに捕らえられた猟奇連続殺人犯が運び込まれる。最後の被害者はまだ生きている可能性があるが、どこに監禁されているかは犯人しかわからない。精神分裂症で、その発作によってこん睡状態にある犯人の潜在意識に入り込んで被害者の監禁場所を聞き出してほしいという依頼を受けるが…というお話。

正直言って、ストーリー展開はある程度読めるんだけども、この映画の見どころは何と言ってもその夢の中の映像化だろうと思う。あの不気味だったり、奇妙だったりする不思議な空間を次から次に移動していく感じが、あー夢ってこういう感じだよねーって思う。さっきまでここにいたのに、次は別のところで別の話になってて、でもさっきとつながってて…みたいな。ただ、わりとグロテスクな映像もあるので、苦手な方は要注意かも。

現実側の話で、監禁場所を見つけるというサスペンス展開は、「羊たちの沈黙」なんかに似た感じがしましたね。

あと、ラストが意外とあっさり終わるので、この手の映画としてはそこは逆に意外だったな。事件は一件落着したが、自分の中に色んな影響が残っちゃって後々困ったことに…みたいなことを想像させる嫌な終わり方が多いと思うんだけど、そこは、あ、何もなかったんだ、よかったよかった、となるのでご安心ください。