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かぞくのくにのsokbuのレビュー・感想・評価

かぞくのくに(2012年製作の映画)
4.3
今年1月にETV特集で「オモニの島 わたしの故郷〜映画監督ヤンヨンヒ」という番組で監督のことを知った。自分自身、済州島で4年間暮らしていたこともあり、懐かしさも感じつつ、興味深く視聴した。4・3事件について彼女の母親を通じて描かれる場面に涙が流れたのを覚えている。北とか南とか選べない事情が彼女の母にはあって、その苦しい葛藤が画面から伝わってきた。

この「かぞくのくに」でも宮崎美子演じる母親が出てくる。夫を見つめている時、子どもたちを見つめる時、25年ぶりに家に帰ってきた息子を迎える時、そして再び別れる時、彼女の心の中にはどんな想いがあったのだろうと想像させられる。

個人の力ではどうすることもできない大きな力に対して、私たちはどう生きていけばいいのか。兄は「考えない」ことが生きる手段と言うが、妹には「考えて、行動してくれ」と伝える。後悔を口にすることのできない父も切ない。

大きな力にこれ以上個人が犠牲にならないことを心から願う。
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