マーくんパパ

ある結婚の風景のマーくんパパのネタバレレビュー・内容・結末

ある結婚の風景(1974年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

TV用映画で全6章から成る5時間弱の長編。ベルイマンらしい徹底的に夫婦の愛とはを追及した作品、画面の殆ど9割以上がこの1組の夫婦の会話。結婚10年、42才の心理学教授の夫ユーハン(E・ヨセフソン)と35才離婚専門弁護士の妻マリアン(L・ウルマン)、金も地位もあり誰もが羨むオシドリ夫婦。友人夫妻の痴話喧嘩や老年女性の熟年離婚相談など他人事だと思っていたが、ある日夫が家を出ると突然言いだす、4年前から若き教え子と出来ていて、ずっと別居を考えてきたとの告白に狼狽え狂乱する妻。一方的に出て行った夫だが数年後帰ってくる、若い愛人に翻弄され疲れ果てた様子、平静な生活を取り戻した妻には新しいパートナーがいる。2人はやり直せるのか、お互い愛情と未練は残っている、会話が続く、しかし肝心な時には核心の問題を封じ込め絨毯の下に隠してしまい結論は出ない。又数年間、夫は大学での栄達は閉ざされ野心や刺々しさは無くなりやっと離婚が整う。お互い新しいパートナーとの生活を開始し、束縛が解け自由な気持ちで話せる2人の密会で幕を閉じるなんとも長き紆余曲折ストーリー。若い世代にはこの長さは付いていけないと思う、口に出せない本音や相手を傷つけたくない思いが解る世代にはこの会話劇がそんなに長くは感じられないのでは。際限のない愛の深さをどこまで追い求めるのが理想なのか考えさせる一編でした。適度な距離、適度な放任が私の理想です。