5月15日は伊丹十三のご生誕日!
生きていれば今日で85歳に。
伊丹十三が俳優から映画監督へ、本格的な転向を決定的にした長編デビュー作『お葬式』from ATG
厳粛な葬式にまつわるエピソードをあるあるネタ一色で彩り、
お葬式って客観的に観るとこんなにコミカルなんだ!という、怒濤の3日間を綴ります。
突然やってくる非日常の「死」と、故人を送り出す人間たちの狂騒具合はどのシーンも的確なるコメディスケッチ。
彼の「死」に対する拘りは逆説的に「生」への大きなテーマとして扱われており、
個人的に彼の最高傑作と認識している2作目『タンポポ』では生命に必要不可欠な「食」をあらゆる角度から捉える作風からも、彼の類い稀なる作家性を見出だすことができるのです。
とにかく伊丹十三の人間喜劇の才能はピカイチで、
その切り口であらゆる題材に果敢に挑んでいった姿勢は尊敬に値します。
だからこそ彼の変死は惜しまれるばかり…。
のちに津川雅彦はマキノ雅彦名義で『寝ずの番』なんかも撮りましたが、
葬式を全編これほどまでに静観し、哀しみと笑いを絶妙な塩梅で仕上げた日本映画は今後現れないのではないでしょうか。
ロールスロイスに乗って登場する御前様こと笠知衆が最高に好き。