すえ

さようならCPのすえのレビュー・感想・評価

さようならCP(1972年製作の映画)
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記録

この映画を観るにあたって自分なりに覚悟はしているつもりだった。しかし、覚悟も、理解も、何もかもが足りなかった。

この作品が嫌いだ、原一男のカメラが嫌いだ、そう思った。何もかもが近い、そうして全てを写す、写しすぎてしまう。どうしてこんな惨いことが出来るのだろう、観ていて苦しくて仕方がなかった。

原一男のカメラが嫌いと言ったが、もっと嫌悪感を覚えたものがある、それは薄っぺらい傍観者、そしてこの映画を観ていた自分自身にである。写される彼らは「可哀想だ」「不幸だ」などと言って同情のような念を抱いているつもりである、果たしてこれが本当に善なのかと言わんばかりにカメラは写す。

彼らは目線の高さを合わせない、合わせるのはカメラだけである。それをずっと意識させられる。小さい子供にさえも見下ろされるようなアングルで、誰も真正面から向き合おうとしない。結局、向き合ったのは原一男だけであったのではないか。

これを観ても、きっと自分はCPの人達に好奇な目を向けてしまうんだろう。そうして浮き上がった自分の浅薄さに嫌気がさした。もう一度観なければならないが、もう観たくない気持ちがある、これ以上自分を嫌いになりたくない。逃げてばかり、卑怯な人間だ。

2023,182本目 6/22 VHS
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