y

リリイ・シュシュのすべてのyのレビュー・感想・評価

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)
-
ひたすらに苦しかった。90年代頃の息もできない退廃的な世界を思い出した。美しいのに灰色の雲に覆われているみたいで、絶望ってこんな色だったな、と。
希望のない救いのないこういう現実は、本当はこの世界の一側面にしか過ぎないと今は思うけど、多感な時期にこの映画はほんとに鬱すぎる……思春期の人間の負の感情をぎゅっと煮詰めて濃縮したそれが、美しい光に照らされているその様を眺めているかのような映画だった……
岩井監督の芸術性がとても好きですがこれは苦しすぎて二度と見れなさそう。ドビュッシーやリリィの音楽の作品との調和性、映像の撮り方、光の残像など全部が美しく、ストーリー抜きにしても深淵に直接訴えかけてくる何かがある、それが好き。だからこそ余計に苦しい……
y

y