オリオンの息子

ダンケルクのオリオンの息子のレビュー・感想・評価

ダンケルク(1964年製作の映画)
3.8
遠い昔にカトリーヌスパーク目当てで、映画館に足を運んだ気がするも、さっぱりストーリーは憶えていない。

昨年は、ノーラン版『ダンケルク』、『人生はシネマティック』とダンケルク撤退作戦をテーマにした作品が続いていたが、制作国、時代によってそれぞれの視点が違い興味深い。

この作品は、完全なフランス視点で描いており、負け戦が決まり、英国に脱出、独軍に降伏、徹底抗戦の三つの選択肢を決めかねているフランス兵の葛藤を、ベルモンドが例の飄々とした演技で醸し出している。

彼の役割は当時のフランス人の最大公約数なのだろう。

ノーラン版のダンケルクでは苦汁を飲んだが、必ず帰ってくるぞとの決意が見えたが、ベルモンドにはそんな悲壮感が全くない!

そうはいっても、彼の苦悩がうかがわれるシーンが、フランス流のエスプリに隠されてはいるが、それとなく散りばめている巧みさには感心する。

それもそのはず、監督はヴェルヌイユ、撮影がアンリドカエ、音楽がモーリスジャールといった当時の超一線級の職人のそろい踏みをクレジットで見つけ、恐れ入りました!

ガキの頃に見て、『ん?』と思った作品を半世紀を経て、ゆっくり味わえる幸せを感じました。

しかし、カトリーヌスパークはやっぱり、可愛い!!