じぇいらふ

死神の谷/死滅の谷のじぇいらふのレビュー・感想・評価

死神の谷/死滅の谷(1921年製作の映画)
5.0
フリッツ・ラング監督ドイツ時代の初期の傑作。題名は『死滅の谷』が『死神の谷』に最近変わり、、、いやいややっぱり『死滅の谷』でしょう✨

1921年作品だから当然無声映画。DVDで観たのだが、ちょっと昔の映画と思えない、色々現代的でとても面白かった。これが地元の映画館で弁士付き活弁上映会があるというので観る。。。いやあ素晴らしかった!!!👍👍👍👍👍

馬車がやってくる。乗客は若い男女とおばあさん。そこに怪しげな男が乗り込む。なぜかおばあさんは降りる。。。この男は実は死神~はじまり

街に死神が現る。若い男女の男性の魂を連れていってしまう。女性は愛する恋人を取り戻すために死神に近づく。無数の命の炎を燃やすローソクの部屋にて死神が言う「違う場所違う時代の3つの世界で死にゆく男性を1回でも救えたら、お前の恋人の魂を助けよう」、、、はたして女性は恋人救済出来るのか?。。。というおはなし🕯🕯🕯

まずこの死神:ベルンハルト・ゲッケの絶対普通の人の顔してない感じがいいです。ここら辺、ドイツ表現主義的濃いメイク。主人公の女性:リル・ダゴファーは、『カリガリ博士』『ドクトル・マブゼ』にも出ている美人さん、当時のスター女優ですな。3つの世界でそれぞれ、違うキャラクターで出ているのがどれもいいです。

この3つの世界というのがそれぞれ中東バクダッド、17世紀のヴェネツィア、古代?中国と、それぞれ全然違う舞台背景、配役のショートストーリーが展開する。主人公の彼女と恋人がそれぞれ違う人物として転生して登場する。恋人は常になんらかの命の危機が訪れるのだが、それを彼女がなんとか防ごうと奔走するのだが、、、。毎回かならず死神がわかりやすい顔で脇役で登場するのが面白い笑。3つの世界はそれぞれ舞台装置も衣装もそれぞれの世界に合わせて結構凝っており予算も掛かってる感じ。ヨーロッパじゃない舞台なのでエキゾチックな感じで演出してあって面白い。

特に3本目の古代中国というのがなかなかぶっ飛んでる笑。バグダット編、ヴェネツィア編がわりとシリアスな展開に対して、中国編が大魔法使いのおじいさんと弟子のバカップルがいろいろ魔法を駆使してドタバタするという特撮と笑いに寄せていてかなり楽しめます。爪がやたら長いあやしい中国皇帝とそもそも白人の俳優がメイクで東洋人ぽくしている無理矢理感笑。魔法を使う度に画面に謎の中国語??っぽい文字が出るとか色々斬新🪄

現代から死神の世界にいって、また戻るとか時空の飛び越え方とか、ここら辺とてもSFチックで、そもそも3つの世界とかいわゆる転生モノですよね。100年前の映画とはちょっと思えない現代性にびっくりします。

なんだかんだで、彼女は恋人が救えるか?。。。結構色々あって最後の展開がかなり感動的でよかったです。

無声映画で観てても面白かったですが、活弁上映で観ると面白さ3倍増くらいになりますね。澤登翠さんという活弁の日本を代表する弁士さんなのでさすがでした。名人芸。なかなか観る機会が少ないのでとても貴重ですね。観てよかったです。また機会あったら観たい!!