ルチル

宇宙戦争のルチルのレビュー・感想・評価

宇宙戦争(2005年製作の映画)
3.8
BSで鑑賞。
ある日、突然空に見たこともないような雲が渦巻き、稲妻が立て続けに落ちてくる。
まるで悪い夢の中のような不穏なプロローグ。
一体何が起こっているのか訳がわからない、でもとにかく逃げなければ。

その臨場感に冒頭から引き込まれた。

もう世界中どこに逃げてもダメそうだし、倒せなそうだし、いっそ灰になって死んだ方が楽なんじゃと思ったけど、監督がスピルバーグだし、なんたって主役はトムだし、ハッピーエンドしかないはずと思いながら最後まで見れました。

うーん、でも途中エグかった。
原作はSFの古典らしいけど、考えた人の頭の中はどうなってるのかしら。

電気も電波も使えないという設定で、世界各地の状況が人々の口伝ての情報でしかわからず、宇宙人の詳細も俯瞰せず、カメラがトムたちから離れないため、鑑賞してる私たちも全体の見えない演出が、不安、恐怖、絶望を主人公たちと一緒に感じさせ、すごく良いと思いました。

唐突に始まり唐突に終わったけれど、戦争に巻き込まれる市民からの視点を誇張して描いていたのかなとも思う。
一市民からしたら、宇宙人もヒトラーもアメリカでも大差なく、ただ逃げ隠れるしかできないし、始まった理由も終わった理由も知る由もない。

あの家族だけ全く無事で出迎えてくれるラストは、この悪夢のような過酷な状況が終わったことの象徴としてなのかなと思いました。

天才子役と言われたダコタファニングのカメラ映えが素晴らしく美しかったです。

トムのSFものはどれもSFらしくて良くできてる。
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