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妻は告白するのmajiziのレビュー・感想・評価

妻は告白する(1961年製作の映画)
4.0
北穂高の岩壁で遭難した3人。
宙づりになったザイルには
一番下に夫、真ん中に妻、一番上に若い男。
妻はナイフでザイルを切った。夫は転落してそのまま死亡。
夫には多額の保険金がかけられており、
妻と若い男との関係はスキャンダルの餌食に。
妻は法廷で何を話すのかー。

人の内心、特に悪意や殺意を裁判で判決することは
時と場合によれば非常に厳しいし難しいし、
ナンセンスなのかも・・・と感じてしまいます。

妻の告白は夫との関係性や彼の過去(残酷で卑劣な態度)が明らかとなり、
自分が妻の立場なら切ってしまうかも?と考えてしまうほど
めちゃくちゃ酷い男です!
小沢栄太郎さんが、ものすごい演技で
殺された役なのに観ている側に全く同情を作らせない。

どこか幼さがあり無邪気で純粋に人を愛する女性と
同情の思いからはじまった擁護、保護的な男性の愛情とでは
噛み合わないとも思わせる。
海辺でキャッキャしてたのによ・・・


たとえ世間の常識や声を無視できても
果たしてその人を取り巻くもの全てを抜きにして
一人の人間を丸裸で愛することなんて、できるだろうか?
そう思います。

そういう意味では、増村保造監督の描く女性は
いつも神々しくもあり、哀れでもあります。

濡れ鼠な若尾文子は、色気と狂気をまとい
ぞっとするほど美しい姿でした。
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