ナツミオ

レベッカのナツミオのレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
4.5
NHK-BSPプレミアムシネマ録画鑑賞
“亡き前妻の影に怯える新妻の恐怖"

これは初見でしたが、ヒッチ監督作品の中でも上位の傑作‼️

巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督が、ハリウッドで最初に手がけたミステリー・ロマン。ローレンス・オリヴィエ、ジョーン・フォンテイン共演。ダフネ・デュ・モーリアの小説を映画化し、アカデミー賞作品賞を受賞した名作。

第13回アカデミー賞11部門ノミネート
(監督・主演男優・主演女優・助演女優・
脚色・作曲・美術監督(白黒部門)ライル・R・ウィーラー、編集ハル・C・カーン、特殊効果ジャック・コスグローブ(写真部門)、アーサー・ジョーンズ(音響部門)
2部門受賞(作品・撮影賞 (白黒部門))

原題 『Rebecca』

1940年米作品モノクロ
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚本 ロバート・E・シャーウッド ジョーン・ハリソン
原作 ダフネ・デュ・モーリア
製作 デヴィッド・O・セルズニック
音楽 フランツ・ワックスマン
撮影 ジョージ・バーンズ
出演 ローレンス・オリヴィエ ジョーン・フォンテイン ジョージ・サンダース ジュディス・アンダーソン フローレンス・ベイツ レオ・G・キャロル
日本語字幕 北村広子

(NHK番組内容より)
モンテカルロで大富豪のマキシム・ド・ウィンター(オリビエ)と出会い、結婚した”わたし"(フォンテイン)は、イギリスのコーンウォル海岸近くにマンダレイという荘園へやって来る。
彼は美しい先妻レベッカを失って、2度目の結婚であった。
しかしその邸宅は幽霊屋敷のようで、家政婦のダンヴァース夫人(アンダーソン)は、レベッカへの熱愛から、新夫人を受け入れず邪魔者扱いにし、レベッカの居間は生前のままに保存していた。死後も尚レベッカが家を支配しているようだった……。

ハリウッドの名製作者セルズニックに招かれたハリウッド初監督作品。
そのためか、ヒッチコックはセルズニックから色々と横ヤリが入り、不本意な制作環境だったらしい。
そのためか、ヒッチ監督らしいサスペンスは少し薄めだが、ロマン要素の高い作品。

主演のジョーン・フォンテインが”わたし"の視点で前妻レベッカの影に怯える役柄を好演し、アカデミー賞ノミネート。
本作でスター・ダムへ。
ヒッチコック監督の次作『断崖』(1941)でも主演をつとめアカデミー賞主演女優賞を受賞。先にこちらを観ていた。

姉のオリビア・デ・ハビランドよりフォンテインの方が好きなのは、日本に馴染み深いからかも?

ジョーンは東京・虎ノ門生まれ。両親共に英国人。父は東京帝大で教えたことも。
幼少期、虚弱体質で母姉とアメリカへ移住。
両親の離婚後、父は日本人と、母はアメリカ人と再婚。ジョーンは米から単身来日してアメリカン・スクールから聖心女子大卒業後、米へ戻り姉の跡を追って女優の道へ。姉は元父の姓、ジョーンは義理の父の姓を名乗る。

製作のセルズニックは『風と共に去りぬ』(1939)を大ヒットさせ、主演のオリヴィエは当時、ビビアン・リー(スカーレット役)と恋人、後に結婚。ジョーンはデ・ハビランド(メラニー役)の妹、と因縁深い。

事故死した前妻レベッカのイニシャル“R"の付いた品々が屋敷中にあり、"わたし"は徐々に不安に苛まれる。
そして、本作の助演女優ジュディス・アンダーソンのダンヴァース夫人役が当たり役‼️
マンダレイの家政婦長、前夫人レベッカを崇拝しており、“わたし"を嫌って屋敷から追い出すべく画策する重要な役柄。
フォンテインの白の衣装と対になる黒服姿と、いつの間にか”わたし"の側にいる不気味さと無表情さが魔女っぽい⁈
”わたし"に反旗を翻し、窓から飛び降りさせようとするシーンも怖い‼️

そして、レベッカの従兄弟で愛人ジャック・ファヴェル(ジョージ・サンダース)のクソ野郎感も。

音楽は、ヒッチ監督の次作も担当するフランツ・ワックスマン。不安を煽る様な曲。

個人的には、
ヒッチコック作品な上位に入る傑作でした‼️

おまけ
ヒッチ監督のカメオ出演は、本作は難解⁈
2回目でそれらしき姿を発見。
終盤、ファヴェルが電話ボックスから出てきて警官に駐車禁止を咎められるシーンで後ろを通り過ぎるがハッキリと見えず…


忘備録
【キャスト】ネタバレ有り
・わたし
: ジョーン・フォンテイン
- ド・ウィンター夫人となった女性。
両親を亡くし、天涯孤独の身で生活のためにホッパー夫人に支えていたが、マキシムと出逢い、彼の再婚相手になる。

・マキシム・ド・ウィンター
: ローレンス・オリヴィエ
- マンダレイの主人。
地元の名家の子息。最近妻のレベッカを事故で喪っている。気が短く、我を忘れて怒り出す悪癖がある。

・ダンヴァース夫人 Mrs._Danvers
: ジュディス・アンダーソン
- マンダレイの家政婦長。
レベッカを崇拝しており、「わたし」を嫌って屋敷から追い出すべく画策する。

・ジャック・ファヴェル Jack_Favell
: ジョージ・サンダース
- レベッカの従兄で愛人。
本人曰く職業は高級車のセールスマン。軽薄で不躾な男。

・フランク・クローリー Frank_Crawley
: レジナルド・デニー
- マキシムの不動産管理人で友人。

・ベアトリス・レイシー Beatrice_Lacy
: グラディス・クーパー
- マキシムの姉。
夫を尻に敷いているが、不安そうな「わたし」を励ましたりアドバイスを与える。

・ジャイルズ・レイシー少佐 Major_GilesLacy
: ナイジェル・ブルース
- ベアトリスの夫。
恰幅のいいユーモラスな紳士だが、不用意な発言も多い。

・ジュリアン大佐 Col._Julyan
: C・オーブリー・スミス
- 警察管区長。
マキシムと親しい。

・ベン 
: レオナルド・キャリー
- マンダレイの海岸の隠遁者。
精神を病んでいる。

・タブ
: ラムスデン・ヘイア
- 船大工。
レベッカの船の整備を担当。

・フリス Frith
: エドワード・フィールディング
- マンダレイの最も古株の執事。

・イーディス・ヴァン・ホッパー夫人 Mrs._Van_Hopper
: フローレンス・ベイツ
- 「わたし」の雇い主。
「わたし」を顎でこきつかったり、マキシムに色目を使ったりする。マキシムと「わたし」の婚約を知ると嫌味と捨て台詞を「わたし」にぶつけて去っていった。

・ベイカー医師 Dr._Baker
: レオ・G・キャロル
- レベッカの主治医。
ロンドン在住。レベッカが隠していた重大な事実をマキシムたちに告げる。

・レベッカ・ド・ウィンター夫人
- マキシムの前妻。
美しい黒髪の美人でマキシムと愛し合っていたと評判だったが、一年前に乗っていたヨットが転覆し、事故死している。名前のみの登場だが、物語で重要な役割を担う。タイトルのレベッカは彼女の名前。
ナツミオ

ナツミオ