いの

レベッカのいののレビュー・感想・評価

レベッカ(1940年製作の映画)
3.8
ヒッチコック監督の今作はとても観やすくてスルスルといけた。といいつつドキドキしてしまって、途中で2度とめて深呼吸した。


観やすい理由のひとつは、展開が巧みなこと。恋愛ものを入り口にして、そこからお屋敷ミステリー?へ。事件について中盤にあかされるのも面白い。コトの真相を語る語り手の話を信用しても良いのかどうか、観る者によっては(すくなくともアタシは)半信半疑で観ていくことになるので関心をそがれることがない。


お屋敷の中心は不在。そこに居ない者が中心となる。旧くからある立派な豪邸。もう居ない人が支配し続けるような場。もうずっとそこに仕えている人の方が、新参者の妻よりも偉そうで、居ない人の代理人となって支配しようとする。ダンヴァース夫人(ジュディス・アンダーソン)の名演があってこそ。


そして観やすい理由のもうひとつは、新たな妻を演じたジョーン・フォンテインの美しさ。透明感や清潔感があって、しかも健気、親しみやすさもあるから、どうしたって応援したくなっちゃうのよね。


これが1940年の制作だということにも驚く。霧とか靄とかに包まれた空間が、独特な味わいを醸し出しているのだと感じた。
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