つかれぐま

ビフォア・サンセットのつかれぐまのレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
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【30代は混沌の中】

ジェシーはあの夜のことを本に書き、わざわざフランスで取材を受ける。そしてセリーヌも本を読み、彼に逢いに行く。両者が願った計画的再会だが、9年の歳月がこの話を単純にはしてくれない。

相変わらず自然な会話が魅力的だが、会話の半分はお互いへの想いの探り合い。そして残りの半分はお互いが「自分の混沌とした状態」をぶつけあっている。「何がやりたいかを探す」そんな気風に満ちた前作とは違い、今回の二人は色々とやった挙句に「何がやりたいか分からなくなっている」混沌状態だ。面白いが見るのがつらい。特にセリーヌはメンタルを病んでいるのだろう(タクシー内の彼女の躁鬱演技は圧巻)。

タイトな尺が二人の焦燥感にちょうど良い。