純

ビフォア・サンセットの純のレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.4
一度でも本当の出会いを果たしたら、別れなんて来ないのだと思う。遠くにいても、二度と会えなくても、あなたはあのひとを失ってはいない。一度でも好きだと思ったひとは消えない。そのひとが灯した思い出が、今歩いている道を照らす、確かな明かりのひとつ。

付き合ったひと全員がそれぞれに特別だから、何度でも傷つくし、時間が経っても懐かしく感じると話す彼女が愛おしくて仕方なかった。細かいところに目がいって感動しちゃうの、と大切な時間に想いを馳せるセリーヌが美しい。ひとはそれぞれに美しくて特別だから、という台詞はなんてやさしいんだろう。美しさは意地悪なんかに壊されない。優しさはいつだって光をすくいあげられるんだな。

君を見つけたくて書いたんだ、と打ち明けるジェシーの気持ちがすごくまっすぐで、なぜか、ぼやけてしまいそうなくらい寂しかった。信じていたことが叶わない季節がわたしたちの人生にはあって、そういう時間を乗り越える力が、動き出す時間をかけがえのないものにするのかもしれない。

若いときって出会いはたくさんあると思ってるらけど希よ、って言葉に「そんなの嘘だよ」と言えない歳になっちゃったな。
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